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東京カメラ部 10選が体験 - BenQのフォトグラファー向けカラーマネジメントディスプレイ「SW2700PT」黒田明臣氏のスペシャルインタビュー

── 普段、レタッチで使っているディスプレイについて教えてください。

EIZOのColorEdge CX270-CNXを1年半くらい使用しています。写真のアウトプットのクオリティを求めはじめたのが購入のきっかけですね。

黒田明臣氏スペシャルインタビュー

── SW2700PTを使ってみての最初の印象はいかがでしたか?

現在使っているディスプレイは同じ27インチで、解像度も2560×1440ドットでスペック面ではSW2700PTと同等ですが、AdobeRGBのカバー率が97%と99%で差があります。やはり、色の再現力での違いは感じましたね。発色傾向はそこまで大きな違いがわからなかったのですが、これはお互いキャリブレーションして正しいものになっている状態ということで、あるべき姿だと思いました。個人的には、ディスプレイが発熱しないというのが嬉しかったですね。ディスプレイ自体もスリムで、作業空間が最適でした。

── ハードウェアキャリブレーションに対応しており、キャリブレーションソフトウェア「Palette Master Element」が附属しています。

インターフェースがわかりやすく、説明書を読む必要すらなかったですね。視覚的にも「今、キャリブレーションをしている」ということがわかったし、ナビゲーション通りに進めていけば大丈夫という安心感がありました。ちなみに、キャリブレーターは「X-Rite」と「Spyder」の二種類が使えるのようですが、今回は「X-Rite」を使用しました。

黒田明臣氏の作品

── 画素密度109ppi、14-bit 3D LUTによる厳密な色再現、Adobe RBG色域を99%カバーした正確な色再現が特徴です。

自分がこだわったライティング通りに、階調や色が厳密かつ緻密に再現できるかどうか。これが僕がディスプレイに求めるもので、SW2700PTは充分にそれに応えてくれます。ただ、キャリブレーションをしても皆さんが見ているデバイスはそれぞれ違うので、仮に自分が正しい色で見ているとしても、自分が見せたいように見せられているのかという問題は残るとは思っています。それでも自分が基準となる正しい色を考え、把握した上で作品制作をおこないたい。写真家のスタイルとして、正確な色再現ができるディスプレイは必須ですね。iPhoneでの閲覧向けにMacbookでレタッチすることもありますが、輝度も高いしコントラストも強く、表示するだけでレタッチされてるような写真になってしまい、こだわっているグラデーションや肌の色合いは損なわれてしまいます。結局はiPhoneで閲覧されるわけですから写真を見る方には無関係ですが、色再現性の高いSW2700PTとMacbookの両方で表示しながら、正確な色を見つつレタッチをしていますね。

── 独自の設定を記憶させ、OSDコントローラーでワンタッチで切り替えることも可能です。

ソフトウェア上で切り替えるのが煩雑なときがあるので便利だと思います。制作しているAdobeRGBのデータと、webで見るsRGBのデータの違いがすぐに確認できるのは新鮮な体験でした。印刷用、web用というようにカスタムもできますし、本意ではないですが、Macの明るいモニターに合わせたプロファイルを作るなど、モニターの明るさを変えてキャリブレーションし、個別にプロファイルを作ることもできますよね。

── モノクロモードも搭載しています。

モノクロはほぼやらないので、ソフトウェア上でモノクロ化すればよいと思っていましたが、モノクロモードの階調とディテール表現はまったく違いますね。素晴らしいと思います。

黒田明臣氏スペシャルインタビュー

── エルゴノミクスデザイン(高さ調整、ピボットなど)の使用感はいかがでしょう。

ピボットで90度ディスプレイを回転させるのは部屋の都合上、なかなかできないのですが、使いたいなとは思います。縦位置の写真を通常の表示で見ると、どうしても小さく表示されるのでもったいないですよね。

── 遮光フードを標準装備しています。

普通は別売りですよね。しかも驚くほど高い(笑)。普段使っているディスプレイは別売りのものを付けていますが、SW2700PT付属の遮光フードの方が使いやすかったです。取り付けは簡単でしたし、パーツがシンプルで堅牢性が高いと思います。これを含めて10万円を切るのはすごいことです。

── 目に優しいフリッカーフリーディスプレイです。

フリッカーフリーで目の疲れは全然ないですね。パソコンを使う仕事なのでブルーライトカットのメガネを付けてるんですが、レタッチのときは色のバランスが少し崩れるのでかけることができないんです。

黒田明臣氏スペシャルインタビュー

── ディスプレイは作品をつくる上でどのような存在ですか?

僕にとってはカメラ以上に重要な機材かもしれません。撮影はあくまで過程。ミスをしないことに全神経を注いでいますが、そこで終わらせようという気はありません。ライティングにはこだわりますし、少し病的な肌色だったり、一般的な色表現ではないと思いますが、そこに自分の写真家としてのスタイルがあるので、意図した色を創るために正確な色のディスプレイは必要なんです。カメラはレンズで撮影しているその場で描写の違いがわかりますが、ディスプレイの色の正確性は、誰かに判断してもらうわけではありません。つまり自分が正しいと思えるかが全て。カラーマネジメントされたディスプレイを使ったことがない方は、ぜひその点を考えてみてほしいなと思います。自信を持って正しい色と言えるディスプレイがこの値段ですから、SW2700PTは全力でおすすめできますよ。

黒田明臣 作品集

黒田明臣氏

黒田明臣

1983年生まれ。2013年頃より人物写真を中心に活動開始。国内外のコンテストや審査制サイトを中心に活動し写真を発表。2015年より、プライベートワークが各所にて評価され、商業撮影も手掛けるようになる。
現在は、プライベートワークとして様々な人物写真を撮影する傍ら、広告・雑誌を中心にスチール/企業広報など幅広く活躍中。撮影以外にも、セミナー講師やインタビューに加え Photoshop/Lightroom に関するチュートリアルも精力的に公開中。
CAMERART所属

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